旅をしながら働く自由な暮らし。
「実際どうやって成り立っているのか?」「自分にもできるのか?」という疑問を持つ人も多いのではないでしょうか。
ここでは、実際に旅をしながら働く私の経験をもとに、働き方、収入源、滞在環境などの要素を整理しながら、このライフスタイルの実態を紹介していきます。
誰にでも当てはまる正解はありませんが、旅と仕事を両立する一つの選択肢として、現実的な視点からお伝えします。
旅しながら働くという生き方とは?
「旅をしながら働く」──これは単なるワーケーションやノマドブームの延長ではなく、人生の軸を「移動と自由」に置いたライフスタイルの選択です。ノマドカフェでパソコンを開くだけでは語れない、継続的な収入と移動生活の両立には、想像以上の工夫と戦略が必要です。
しかし一方で、この生き方には計り知れない魅力があります。朝は異国のビーチで目覚め、日中はリモートで仕事をこなし、夕方には新しい街を歩く──そんな生活を現実にするためには、働き方そのものを見直す必要があります。
旅を優先するか、仕事を優先するか
旅をしながら働く人のスタイルは一人ひとり異なりますが、大きく分けると「旅を軸にして仕事を組み立てる人」と「仕事を軸にして旅を計画する人」に分かれます。
- 旅優先型:行きたい国や体験を重視し、仕事は移動や観光のペースに合わせて調整するスタイル。仕事のボリュームやスケジュールは柔軟性が求められます。
- 仕事優先型:業務の質や安定収入を第一に考え、通信環境や作業時間の確保を前提に旅先を選ぶスタイル。時差やスケジュール管理を重視する傾向があります。
どちらが良い・悪いという話ではなく、自分の旅の目的やライフステージに応じて、無理のないスタイルを選ぶことが大切です。
「自由な働き方」に必要な条件
旅をしながら働くというと、つい「自由=気まま」と捉えがちですが、現実には自由であるための努力と設計が不可欠です。自由な働き方を持続するためには、以下の3つの条件が重要です。
- 時間の自由
・固定勤務時間のない仕事を選ぶ(例:納期ベースの業務、成果報酬型の副業など)
・タイムゾーンを意識したスケジューリング力 - 場所の自由
・ネット環境に依存しない働き方(オフラインでも作業可能な業務を一部含める)
・ワーケーション対応のツール・設備の整備 - 経済的自由
・収入が支出を上回っていること
・突発的な収入ゼロ期間でも生活できる蓄えやサブ収入源の確保
自由とは「選択肢がある状態」です。それを成立させるためには、スキル・仕組み・マインドの三位一体が必要なのです。
どんな仕事なら旅と両立できるのか?
旅をしながら働くには、当然ながら「旅との相性がよい仕事」を選ぶ必要があります。ここで重要なのは、単にパソコン一つでできる仕事を探すことではなく、移動や時差、ネット環境などの不確定要素に強い働き方を見つけることです。
たとえば、動画編集やライティングのように、作業時間を自分で調整できる仕事は旅と相性が良い傾向があります。一方で、リアルタイムの対応が求められるカスタマーサポートやコール業務などは、タイムゾーンや通信品質の影響を受けやすく、工夫が必要です。
旅と相性が良い仕事の特徴とは?
以下のような特徴を持つ仕事は、旅と両立しやすいとされています。
- 納期ベース・時間拘束が少ない
→ 決まった勤務時間がなく、成果物で評価される仕事(例:記事執筆、デザイン制作) - 完全リモートで完結する
→ オンラインで完結し、場所に縛られない(例:Web制作、動画編集、翻訳) - オフラインでも一部作業可能
→ ネットが不安定でも進められる作業を含む(例:原稿執筆、編集、資料作成) - 継続性またはストック性がある
→ 旅先でもコツコツ積み上げていける(例:ブログ運営、写真販売、デジタル商品の販売)
こうした特性をもとに、自分のスキルや興味に合った仕事を選ぶことで、旅と仕事を無理なく両立させることができます。
旅のスタイルに合わせた仕事選びも重要
さらに、自分の旅のスタイルに合った働き方を考えることも大切です。
- 短期滞在を繰り返す旅
→ 単発の案件や柔軟なスケジュールで動ける副業タイプが適している - 長期滞在でじっくり暮らす旅
→ 安定した契約型のフリーランス業務や、継続案件を持つ働き方が選択肢になる
同じ「旅をしながら働く」でも、旅の進め方によって向いている仕事は変わってきます。どんなペースで旅をしたいか?どれくらい働きたいか?という視点で、仕事を見直してみるのもおすすめです。
旅×仕事スタイル別|5つの代表モデル
「旅しながら働く」とひとことで言っても、実際のスタイルは人それぞれです。
ここでは、旅の仕方・滞在期間・収入の得方・自由度のバランスに着目して、代表的な5つのスタイルを紹介します。
自分の価値観やライフステージに合ったモデルを見つける参考にしてください。
1. 移動型ノマド(短期滞在+案件ベース)
旅を最優先し、仕事はその合間で調整するフットワーク重視型。
数日~数週間ごとに場所を変えながら、短期案件やスポット収入で生活をつなぎます。
- 滞在日数:1〜3週間程度
- 収入源:単発ライティング、動画編集、小規模のバーチャルアシスタントなど
- 向いている人:刺激重視、飽きやすい、スケジュールの柔軟さを最優先したい人
メリット: 自由度が高く、さまざまな国や街を経験できる
デメリット: 通信環境や作業時間の安定確保が難しく、収入が不安定になりやすい
2. 拠点型ノマド(中期滞在+継続契約)
数ヶ月単位で拠点を定めて働く、生活重視型ノマド。
「旅」というより「海外生活」に近い形で、仕事と暮らしを安定させるスタイルです。
- 滞在日数:1〜3ヶ月程度をひとつの都市で
- 収入源:Web制作、継続ライティング契約、事業サポートなど
- 向いている人:習慣を重視する、家計管理が得意、働く場所を整えたい人
メリット: 作業環境や生活コストを最適化でき、安定して働きやすい
デメリット: 旅の頻度は減るため、「移動の刺激」を求める人には物足りないことも
3. ストック型ビルダー(コンテンツ・資産収入型)
短期的な収入ではなく、長期的に“稼ぐ仕組み”を育てていくスタイル。
ブログやYouTube、デジタル商品の販売など、自分の発信やノウハウを収益化します。
- 滞在日数:自由(働く時間を自分で決められる)
- 収入源:アフィリエイト、AdSense、写真販売、オンライン講座など
- 向いている人:コツコツ継続できる、発信が好き、資産形成に興味がある人
メリット: 収入が安定すれば、ほぼ「旅だけ」でも生活可能になる
デメリット: 収益化までに時間がかかり、成果が出る保証もない
4. ハイブリッド型(ストック+フロー型の複業)
短期案件+長期契約+資産構築の3つをバランスよく組み合わせる、実用主義型。
現実的に「稼ぎながら育てる」道を選ぶ旅人に多いスタイルです。
- 滞在日数:1〜2ヶ月ペースが多い
- 収入源:一部固定収入+一部成果報酬(例:月額契約+ブログ+動画編集)
- 向いている人:現実的で計画的、収入の安定と自由を両立させたい人
メリット: 旅を続けながら着実に収益基盤を構築できる
デメリット: 複数案件の管理が必要で、自己管理能力が問われる
5. ワークライフ重視型(旅は副次的、仕事が主軸)
仕事の充実や収入の安定を最優先し、空いた時間に旅を楽しむバランス型。
“旅先で働く”というより、“働く場所を選べる”という自由を活かしたスタイルです。
- 滞在日数:1ヶ月以上〜長期滞在(1都市に腰を据える)
- 収入源:本業ベースの業務委託/正社員型リモートなど
- 向いている人:キャリア志向、仕事も旅も両立したい、生活の質を重視したい人
メリット: 生活が安定しやすく、質の高い仕事・暮らしを維持しやすい
デメリット: 移動の自由度や観光の頻度は控えめになることが多い
旅と仕事の両立には、「正解」や「理想形」があるわけではありません。
むしろ、自分の目的やフェーズによって、スタイルを行き来していく柔軟さが重要です。
「今は仕事優先で」「来年はもう少し自由に」──そんなふうに、旅と働き方のバランスを調整しながら、自分なりの生き方を設計していきましょう。
ノマドワーク・リモートワーク・フリーランスの違いと共通点
「自由な働き方」という言葉のもとに、ノマドワーク、リモートワーク、フリーランスといった用語がよく使われます。
これらは似ているようで微妙に異なる概念であり、混同すると働き方の選択を誤ることもあります。
ここでは、それぞれの用語の意味と違い、そして共通点を明確に整理します。
ノマドワークとは?
ノマドワークとは、場所にとらわれず働くスタイルを指します。
カフェ、コワーキングスペース、ホテル、空港など、インターネット環境があればどこでも仕事ができることが特徴です。
- 働き方のスタイル:場所の自由が最大の特徴
- 雇用形態:正社員でもフリーランスでもなれる
- 向いている人:移動が好き、自分の生活に柔軟性を持たせたい人
「ノマドワーカー」はフリーランスだけでなく、リモート勤務の会社員にも当てはまる概念です。
リモートワークとは?
リモートワークとは、会社やチームに属しながら、オフィス以外で働く勤務形態のことです。
在宅勤務・テレワークとほぼ同義で使われることもありますが、広義では出張先や旅先も含みます。
- 働き方のスタイル:企業やチームに属しつつ、場所に縛られない
- 雇用形態:正社員・業務委託・パートなど多様
- 向いている人:会社との安定した関係を維持しつつ、柔軟に働きたい人
「リモートワーカー」は、会社の業務体系の一部として成立している働き方です。
フリーランスとは?
フリーランスは、企業や組織に雇用されず、個人で業務を請け負う働き方(契約形態)を指します。
働く場所に関係なく、仕事の獲得・納品・報酬受取などを自分で完結するスタイルです。
- 働き方のスタイル:成果報酬型が多く、自由度は高いが自己責任
- 雇用形態:完全な非雇用(業務委託契約)
- 向いている人:自己管理ができる、案件を獲得・交渉できる人
つまり、ノマドワーク=場所の自由、リモートワーク=勤務形態、フリーランス=契約形態
と分類すると、それぞれの違いが明確になります。
共通点と補足:これらは「重なり合う」概念
3つの働き方は、相互に排他的なものではなく、むしろ重なり合っています。
たとえば、
- ノマドワーカーであり、リモート勤務の正社員
- フリーランスとして自宅作業をしているけど、旅行中はノマド的になる
- ストック収入を得ながら、週数日はクライアントワークをする複業型
このように、働き方は固定されたものではなく、自分のライフスタイルや旅のペースに合わせて柔軟に組み合わせることが可能です。
「自分はどの枠に当てはまるのか」ではなく、「どんな自由が必要なのか」「どんな働き方が自分に合うのか」を軸に考えることが、旅と仕事を両立する第一歩になります。
実際に旅をしながら働くために準備すべきこと
旅をしながら働く──その言葉には自由やロマンが詰まっていますが、現実には継続するための準備と工夫が欠かせません。
このセクションでは、旅と仕事を両立するうえで最低限押さえておきたい「実務的な準備項目」を整理します。
通信・電源・機材:仕事が止まらないためのインフラ
旅の最中に安定して働くためには、「どこでも仕事ができる環境」を自分で持ち運ぶ意識が必要です。
- SIMカード or eSIMの準備(現地で購入 or 海外対応プランを契約)
- ノートPC・モバイルバッテリー・電源変換プラグの携行
- クラウドストレージの利用(Google DriveやDropboxでデータを同期)
- バックアップ手段の確保(PCの故障・盗難時に備える)
これらを整えておくことで、万一の通信トラブルや移動中の作業もスムーズに対応できます。
お金と契約まわりの管理:どこにいても困らない体制を
収入を得て生活を続けるには、お金と契約まわりも見落とせません。
- 報酬の受け取り口座をオンライン対応にする(WiseやRevolutのような多通貨口座も便利)
- 国際対応のクレジットカードを複数持つ(補償付き・現地キャッシング対応)
- 税金・保険・年金まわりの整理(出国前に確認。フリーランスの場合は特に要注意)
- VPNやセキュリティ対策(公共Wi-Fi使用時のデータ保護)
「会社に任せればいい」ではなく、すべてを自分で管理する前提で設計しておくことが重要です。
仕事と生活を成立させる「滞在拠点」の選び方
旅の拠点は、仕事と生活のバランスを大きく左右します。
- 作業環境のある宿(机・椅子・照明・Wi-Fi速度)を重視
- 滞在コストを抑えつつ長期割引のあるエリアを選ぶ
- 病院・スーパー・カフェなど生活インフラの確認
- 近くにコワーキングスペースや静かなカフェがあるかもチェック
短期なら刺激優先でも構いませんが、長く続けるなら「旅先=仕事場」である意識を持つことが必要です。
最初の一歩におすすめの準備ステップ
「何から始めればいいかわからない」という人は、まず次のステップを順番にクリアしてみてください。
- 自分にできそうな仕事を1つ選び、クラウドソーシングに登録してみる
- 月の生活費と目標収入額を試算する(ざっくりでOK)
- 長期滞在向きの都市を調べてみる(例:チェンマイ・ジョージア・ポルトなど)
- 海外用のネット環境・お金の準備を進める(SIMや口座の確認)
- 短期で1ヶ月の旅×仕事を試してみる(国内でも可)
最初からすべて完璧である必要はありません。試して、整えて、少しずつ自分なりのスタイルを築いていくことが大切です。
自由に働き続けるためのマインドセット
旅をしながら働く生活には、憧れや自由があります。しかし、その自由は「好きなことだけをしていればいい」という意味ではありません。
むしろ、自由には自己責任がともない、自分で自分を律する力が問われる環境です。
ここでは、旅と仕事を両立するために身につけておきたいマインドセットを紹介します。
自分でリズムを作る習慣
オフィス勤務と違い、誰にも強制されない生活では「やるべきことを後回しにする自由」も手に入ります。
だからこそ、自分で生活と仕事のリズムを作る力が不可欠です。
- 朝起きる時間を固定する
- 午前中は仕事、午後は観光と決める
- 毎週◯曜日はタスク整理・事務処理日などにする
「自分のルールで動く」ことは、自由を活かす最初のステップです。
続ける力は「モチベーション」より「仕組み」
旅の環境は常に変化し、時に疲労や孤独、停滞感が襲ってくることもあります。そんな時、モチベーションだけに頼っていては続きません。
大事なのは、感情に左右されずに行動を起こせる「仕組み」を作ることです。
- 毎日少しでも作業する時間帯を固定する
- やる気が出ない日は「5分だけやる」と決める
- タスクは細かく分けて、達成感を積み重ねる
「調子が悪くても、続けられる構造を作っておくこと」が、継続の鍵です。
完璧を目指さない柔軟性
旅と仕事を両立させようとすると、計画通りにいかないことは日常茶飯事です。
- 予定したカフェが休業していた
- ネットが繋がらず納期に焦った
- 体調を崩して仕事を休まざるを得なかった
そんなとき、「ちゃんとやらなきゃ」と思うほど、自分を追い詰めてしまいます。
柔軟性=ズボラではありません。
変化に対応し、崩れた分をリカバリーする力も、旅×仕事には大切な能力です。
「旅を続ける理由」を持つこと
目先の収入や作業に追われるだけでは、自由に働く意味を見失ってしまいます。
- なぜ旅をしているのか?
- どんな働き方を理想としているのか?
- 仕事は旅の手段か、旅の目的か?
これらを言語化しておくと、辛くなった時に「なぜ今ここにいるのか」を思い出すことができます。
旅と仕事の両立は、単なる生計の手段ではなく、自分の生き方をデザインするための土台でもあるのです。
まとめ:旅と仕事を両立する生き方は、自分で選べる時代に
「旅をしながら働く」という生き方は、かつては限られた人だけのものでした。
しかし今では、リモートワークやフリーランス、副業の普及によって、
多くの人が場所や時間に縛られない働き方を選べるようになっています。
もちろん、その自由には責任や準備が伴います。
けれど、だからこそ「どこで、どう働くか」「どんな旅を続けるか」を、
自分で設計していける時代でもあります。
最初の一歩は、ほんの小さなアクションで構いません。
まずは今の働き方を見直すことから。あるいは、週末だけでも旅に出てみることから。
このカテゴリでは、そんな「旅×仕事」のリアルな情報と、具体的な実践ノウハウを発信していきます。
あなたの旅と仕事の交差点が、より自由で、より豊かなものになりますように。