「世界中を自由に旅したい」と思っていても、その前に立ちはだかる現実的なハードルのひとつが「ビザ」です。
タイやメキシコのようにノービザで入国できる国もあれば、インドやエジプトのように出発前のeVISA申請が必要な国もあります。さらに、ロシアやキューバのように特殊な手続きが求められる国も存在し、制度も年々変化しています。
しかも、アライバルビザが空港で取れるはずだったのに拒否された、滞在日数を勘違いしてオーバーステイ寸前だった、といった声もよく聞きます。世界一周や長期旅行を計画している人ほど、出発前に「ビザを甘く見ない」ことが大切です。
本記事では、2025年時点の最新情報に基づき、観光ビザ・eVISA・アライバルビザの違いから、60カ国以上のビザ要件・取得方法・注意点を地域別・国別に整理しました。
この国は本当にビザ不要なのか?
長期滞在できる国はどこか?
ビザの落とし穴にはどう対処すべきか?
そんな疑問を持つすべての旅人へ、実体験も交えながらお届けします。
ビザの基本知識と注意点
観光目的で海外に渡航する場合、多くの国ではビザが不要または簡単な申請だけで済むようになりました。ただし、「ノービザ」「eVISA(電子ビザ)」「アライバルビザ」など、国によって取得条件や滞在日数、入国審査の厳しさは大きく異なります。
ここでは、観光ビザの基本や、免除条件、代表的な取得方式について整理し、事前に知っておくべき注意点を解説します。
観光ビザとは?他のビザとの違い
ビザとは、渡航先の国が外国人に対して発行する入国許可証のようなものです。主に「観光」「就労」「留学」など目的によって種類が分かれますが、本記事では短期の観光を前提にしたビザに絞って解説します。
観光ビザは、観光・訪問・短期出張などの目的で入国する際に必要となる許可です。日本のパスポートは「ビザなしで行ける国が多い」と言われていますが、実際には事前申請が必要な国や、滞在日数や出国チケットの提示といった条件付きでの免除も多く、一律に判断することはできません。
ビザ免除国でも油断は禁物
「この国はノービザで行ける」と思っていても、いざ入国しようとすると以下のような条件が課されている場合があります。
- 滞在日数に上限がある(例:タイは30日、ジョージアは365日)
- 出国航空券の提示が必要(片道だけでは拒否される可能性あり)
- パスポートの残存有効期間が6ヶ月以上必要
これらの条件を満たしていないと、たとえビザ免除国であっても入国を拒否されるケースがあります。ノービザ=無条件ではない、という点を忘れずに。
eVISAとアライバルビザの違い
ビザの取得方式には、以下の3つがあります。それぞれに特徴と注意点があります。
- eVISA(電子ビザ)
オンラインで事前申請する方式。許可が下りるまでに数日かかるため、早めの手続きが必要です。申請完了後はPDF形式などで証明書を携行します。 - アライバルビザ
入国時に空港や国境で取得できる方式。現地で現金支払いが必要なことが多く、証明写真の提出や、申請書の記入も求められます。混雑や申請不備で長時間待たされるリスクもあります。 - ビザ免除(ノービザ)
指定された滞在日数の範囲内であれば、ビザの申請なしで入国できる制度。ただし、目的が「観光」以外に当てはまる場合や、延長が難しいケースも多いため注意が必要です。
最近はeVISA対応国が急増しており、アライバルビザよりも事前取得が推奨されるケースが増えています。
また、一部の国では、オンラインや到着時の取得ができず、日本国内の大使館やビザセンターで事前に申請する必要があるケースもあります。代表的な国は以下のとおりです。
- 中国:観光ビザ(Lビザ)は原則大使館での申請が必要。オンライン申請不可。
- ロシア:eVISA対象外の地域が多く、従来通りの紙申請が必要な場合がある。
- イラン:観光目的でもビザ取得が必須。オンライン申請後、大使館での取得が一般的。
- ベラルーシ:原則ビザが必要で、日本からの渡航では大使館申請が基本。
これらの国では、書類の準備や取得までの時間も長くなる傾向があるため、旅程に余裕をもって準備することが大切です。
制度は常に変化する|情報アップデートの重要性
ビザ制度は政治・外交・情勢の影響を強く受けるため、数ヶ月単位で大きく変わることがあります。実際、近年では以下のような変更が見られました。
- ケニア:2024年にeVISAを廃止し、事前電子登録制度へ移行
【2025年版】世界のビザ事情|地域別・国別の実用ガイド
ここでは地域別・国別の執筆時点でのビザ情報を掲載します。こちらの情報を参考に、最終的にはご自身で直接各国の大使館の情報を必ず確認してください。
下記の地域名をクリックすると、該当地域の国別ビザ情報にジャンプします。
東南アジア
東南アジアは、比較的ビザ制度が緩やかな国が多く、世界一周や長期旅行の序盤に組み入れられることも多い地域です。多くの国で日本人は短期滞在ならビザ不要ですが、滞在日数や再入国ルールなど細かな違いがあるため、事前の確認が重要です。
タイ
観光目的での滞在は30日以内であればビザ不要(空路・陸路ともに対象)。ただし、陸路入国は年2回までの制限あり。延長を希望する場合は、イミグレーションで最大30日の延長申請が可能(1,900バーツ)。
ベトナム
2023年より日本人は45日間ノービザで滞在可能。さらに長期滞在を希望する場合は、事前にeVISAを取得すれば90日まで滞在可能。eVISAの公式申請サイトが整備されており、比較的申請しやすいが、許可メールが届かないなどのトラブル報告もあり要注意。
カンボジア
ノービザ入国は不可。アライバルビザまたはeVISAの事前取得が必要。eVISAは公式サイトから申請可能で、有効期間30日。空港でのアライバル取得では写真提出・現金払いが必要で、混雑する場合がある。
フィリピン
日本人は30日間までビザ不要。現地での延長申請により最長36ヶ月まで滞在可能(手続きは1〜2ヶ月ごとに分けて更新)。ただし延長には手数料がかかり、滞在管理が煩雑になりやすい点に注意。
インドネシア
日本人はノービザで30日滞在可能。ただし延長は不可。延長を希望する場合は、入国時に「有料のアライバルビザ(VOA)」を選択すれば、追加で30日間の延長が可能。VOA取得は空港で簡単に行える。
マレーシア
90日間のノービザ滞在が可能。再入国にも比較的寛容で、長期旅行者にとって使い勝手が良い国。ただし、入国時に出国用航空券の提示を求められることがあり、片道渡航の人は事前準備をしておいた方が安心。
南アジア
南アジアは、ビザが必要な国が多い地域です。eVISA対応国も増えていますが、申請にはやや手間がかかるケースがあり、事前の確認と余裕を持った手続きが求められます。制度変更の頻度も高く、最新情報の取得が重要です。
インド
日本人は観光目的で最長30日間のeVISAを取得可能(最大2回まで)。オンライン申請は可能だが、フォームが長く、写真やパスポート画像のアップロードが必要。申請後に「許可通知メール」が届かないことがあり、念のため公式サイトでステータスを確認するのが確実。
スリランカ
日本人は「ETA(電子渡航認証)」の取得が必要。公式サイトからの申請が原則で、渡航前に承認を得ておく必要がある。ETAでの観光滞在は最大30日間(延長可能)。過去には制度変更が頻繁に行われており、最新の情報確認は必須。
ネパール
ビザは必須だが、観光目的であればカトマンズ空港でアライバルビザの取得が可能。15日/30日/90日など複数の滞在期間を選択でき、料金も異なる。写真と現金(米ドル)を用意しておくとスムーズ。
バングラデシュ
原則としてビザが必要。観光ビザの取得は日本国内の大使館での事前申請が推奨されるが、一部ではアライバルビザも可能とされている。ただし制度が曖昧なため、確実を期すなら出発前の取得が望ましい。
モルディブ
日本人は30日間の観光目的での滞在がビザ不要。ただし入国時に帰りの航空券や宿泊予約確認書の提示を求められることがある。高級リゾート滞在以外の場合は、細かい条件を確認しておくことが大切。
中央アジア
中央アジア諸国では、近年ビザ緩和の動きが進んでおり、日本人旅行者にとっては訪問しやすい地域になりつつあります。ただし、制度の周知が進んでいない国もあり、現地での対応や陸路移動時のルールに不安が残る国もあるため、最新情報の確認が不可欠です。
ウズベキスタン
2018年より日本人は30日間の滞在でビザ不要。首都タシュケントを中心に観光インフラも整備されつつあり、陸路での周遊にも対応。ただし、入国時に現地通貨の申告や現金所持額に関するチェックを受ける場合がある。
カザフスタン
30日間のノービザ滞在が可能。滞在延長はできないが、再入国は比較的柔軟。入国時に出国チケットの提示が求められることがあり、片道渡航者は注意が必要。陸路での周遊を考えている場合は、国境情報を事前に確認することが望ましい。
キルギス
日本人は60日間の滞在がビザ不要。首都ビシュケクやイシク・クル湖など自然観光地が多く、長めの滞在がしやすい。現地の治安や医療体制は都市部と地方で差があるため、事前の下調べをしっかり行いたい。
タジキスタン
eVISAの取得が必要(日本人も対象)。最大45日間までの滞在が可能。公式サイトはやや使いづらいが、日本語のガイドサイトも出てきている。山岳地帯へのアクセスには「GBAOパーミット(特別許可証)」が別途必要な場合があり、登山や内陸部の観光を予定している人は要確認。
東アジア
東アジアは日本からの距離も近く、多くの国がビザ免除や簡易手続きに対応しています。ただし、中国やモンゴルのように事前申請が必要な国もあり、渡航目的や滞在日数によって制度が大きく異なるため、慎重な確認が求められます。
台湾
90日間までの観光滞在はビザ不要。入国に関しての制限は比較的緩やかで、再入国も柔軟に対応している。コロナ後の水際措置もほぼ撤廃され、2025年現在は通常の短期旅行に制限はほとんどない。
韓国
90日以内の観光滞在はビザ不要。2023年からは「K-ETA(電子渡航認証)」の一時免除措置が取られているが、今後再開される可能性があるため注意が必要。最新情報を出発前に必ず確認すること。
中国
観光目的の渡航には必ずビザが必要。オンライン申請は不可で、日本国内のビザセンターまたは中国大使館での事前取得が必要。申請にはパスポート、証明写真、航空券・宿泊先の情報などが求められ、発行まで1週間以上かかる場合もある。
モンゴル
日本人は30日間の滞在でビザ不要。ただし、滞在延長やビジネス目的での入国には別途手続きが必要。首都ウランバートル以外では入国管理体制が十分でないため、周辺国からの陸路移動を考えている人は特に注意。
中東
中東地域では、観光ビザの取得方法が国によって大きく異なります。eVISAが整備された国もあれば、政治情勢によって突然制度が変わるケースもあります。日本人は比較的優遇されることが多いものの、入国条件には細かな差があるため、必ず事前に最新情報を確認するようにしましょう。
トルコ
日本人は90日間までビザ不要。以前はeVISAが必要だったが、2020年以降は免除となり、短期旅行者にとっては非常に訪れやすい国。陸路入国にも対応しており、周辺国との周遊にも便利。
ジョージア
日本人は365日間の長期滞在がビザ不要という特例的な制度を採用。長期旅行者やノマドワーカーに人気。入国審査も比較的緩やかで、ビザランなしで1年滞在できる数少ない国のひとつ。
アルメニア
180日までの滞在でビザ不要。日本人旅行者には非常に寛容な制度が整っており、陸路での入出国も可能。観光目的なら特別な準備はほぼ不要だが、公共交通の便が悪く、ビザ以外の準備が必要になる地域でもある。
アゼルバイジャン
eVISA(ASANビザ)の事前取得が必要。有効期間は30日間で、オンライン申請後は数日以内に許可が届く。トルコやジョージアとの陸路移動を予定している場合は、国境のビザチェックに注意が必要。
UAE(ドバイ)
観光目的での滞在は30日間までビザ不要。ドバイなどの主要都市での入国は非常にスムーズで、入国審査も厳しくない。出国時のオーバーステイには厳しい罰金が科されるため、滞在日数の管理は厳守すること。
サウジアラビア
2019年に観光eVISA制度が開始され、日本人も対象に。オンライン申請で30日間の滞在が可能。男女の服装規定や宗教上のマナー、アルコール禁止など、入国後の生活ルールは他国より厳格なため注意が必要。
イスラエル
日本人は3ヶ月間の観光目的滞在でビザ不要。入国審査は非常に厳しく、特に周辺の中東諸国(レバノン、イランなど)への渡航歴があると詳細な質問を受けることがある。入国スタンプは原則押されず、別紙での管理。
イラン
原則ビザが必要。日本人はオンライン申請(e-visa)で観光ビザを取得後、イラン大使館または現地空港で発行を受ける方式。事前に旅行保険加入証明の提示が求められる場合があるほか、宗教上の服装規定(特に女性)は厳守が必要。
北アフリカ
北アフリカは、イスラム文化圏の中でも比較的観光フレンドリーな国が多く、日本人に対してはビザ免除や簡易なアライバルビザが用意されています。ただし、情勢によっては入国規制や注意勧告が出ることもあり、直前の情報確認が重要です。
モロッコ
日本人は90日間の観光目的での滞在がビザ不要。入国審査は比較的緩やかで、出国航空券の提示を求められることは少ない。観光インフラも整っており、個人旅行者にも対応しやすい国。
チュニジア
日本人は90日までの観光ビザが不要。入国時に宿泊先や帰国便を聞かれることはあるが、基本的に厳しい審査は行われない。時期によってはデモや不安定な治安状況が発生するため、外務省の最新情報を要確認。
エジプト
観光ビザが必要だが、eVISAまたはアライバルビザの取得が可能。eVISAは出発前にオンライン申請でき、比較的スムーズに許可が出る。現地空港でのアライバル取得も可能だが、「許可証が印刷されていない」とトラブルになるケースもあるため、eVISA推奨。
アルジェリア
観光目的でもビザが必要で、eVISAやアライバルビザの制度は未整備。日本からの渡航者は事前に東京のアルジェリア大使館でビザを取得する必要がある。申請には旅行日程、ホテル予約、招聘状などが求められる場合があり、中東や北アフリカの中では手続きが最も煩雑な部類に入る。
東アフリカ
この地域は共通ビザ制度(East Africa Tourist Visa)を導入している国もあり、周遊旅行者にとって便利な一方で、制度運用にばらつきがあるため慎重な確認が求められます。eVISAとアライバルビザを選べる国もありますが、オンライン申請サイトの不安定さや現地の係官の対応にも注意が必要です。
ケニア
2024年からeVISAは廃止され、無料の電子事前登録制度(ETA)に移行。公式サイトからの登録が必須。印刷した確認書を持参することで入国可能。システム障害が報告されており、早めの申請が推奨される。
タンザニア
eVISAまたはアライバルビザが選択可能。申請サイトが不安定なこともあり、現地取得を選ぶ旅行者も多い。アライバル時に「オンライン未申請では発行不可」と言われる例もあり、事前に申請済みである証拠(スクリーンショットなど)を携帯することが重要。
ウガンダ
eVISAとアライバルビザに対応しているが、ケニア・ルワンダとの共通観光ビザ(East Africa Tourist Visa)の取得も可能。共通ビザはオンライン申請が基本で、複数国を訪れる人にはコスパが良くおすすめ。
ルワンダ
eVISA・アライバルビザ両対応。ウガンダ・ケニアとの共通ビザも利用可能。現地空港での取得も可能で、審査も比較的スムーズ。陸路入国でも大きな問題は報告されていない。
エチオピア
原則としてeVISAが必須。アライバルビザは現在原則対応しておらず、事前のオンライン申請が必要。申請後のメール未着トラブルが報告されており、控えを印刷して持参することが強く推奨される。
南部アフリカ
南部アフリカは比較的ビザ制度が緩く、日本人は観光目的でビザ不要の国が多いのが特徴です。ただし、地域間移動では共通ビザ(KAZAユニビザ)の活用が便利で、事前の情報収集が旅の快適さを左右します。
南アフリカ
日本人は90日間までビザ不要。空路・陸路どちらでも入国可能で、出入国審査もスムーズ。滞在日数は厳密に管理されるため、入出国スタンプを必ず確認しておくこと。
ナミビア
90日以内の滞在でビザ不要。日本人にとって非常に訪問しやすい国で、南アフリカとの陸路移動も簡単。地方に向かう場合はパスポートの携帯義務に注意。
ジンバブエ
eVISAまたはアライバルビザが必要。ザンビアとの共通観光ビザ(KAZAユニビザ)が利用可能で、ビクトリアフォールズ周辺を訪れる人にとって非常に便利。陸路国境ではこのビザの取扱いがないケースもあるため、事前に確認しておきたい。
ザンビア
ジンバブエと同様にKAZAユニビザまたはeVISAで対応可能。アライバル対応もあるが、現地係官の裁量が大きいため、書類は紙で用意しておくのが安心。
ボツワナ(参考)
日本人は90日以内の観光でビザ不要。野生動物保護区などへの観光が盛んで、南アやジンバブエとの周遊がしやすい国。特別な申請は不要だが、陸路国境では入出国管理にやや時間がかかる。
中部アフリカ
中部アフリカは、観光目的の渡航でもビザが必要な国がほとんどで、オンライン申請に対応していない国も多く、大使館での事前取得が必要です。治安や感染症リスクも高いため、慎重な旅程設計と安全対策が不可欠です。
コンゴ民主共和国(DRC)
観光ビザの取得が必須で、日本からの渡航には東京の大使館での事前申請が必要。黄熱病予防接種証明書(イエローカード)の提示が求められる。治安の不安定さから、旅行は基本的に推奨されていない。
カメルーン
日本人は観光ビザの事前取得が必要。オンライン申請制度は未整備で、大使館対応のみ。英語とフランス語が併用されており、言語による申請トラブルも報告されている。
中央アフリカ共和国
観光ビザ必須。政情不安定なため、原則的に不要不急の渡航は控えるべき国。ビザは大使館申請が必要で、航空券や滞在先証明、招聘状などが求められる。
アンデス地域
アンデス山脈沿いの国々では、日本人に対するビザ免除が広く認められており、長期滞在にも対応しやすい傾向にあります。ただし、入出国の際のスタンプ漏れやオーバーステイには注意が必要です。
ペルー
日本人は90日以内の観光ビザが不要。入国時に滞在可能日数が決定されるが、90日未満になる場合もあるため入国時に確認すること。延長は原則不可。
ボリビア
観光目的で最大90日までビザ不要。ただし、年内累計で90日以内となっており、複数回入国する場合は要注意。イミグレでの手書き対応が残っている場所もあり、出入国スタンプの確認を徹底。
エクアドル
90日までのビザ免除。長期滞在やリモートワーカー向けのビザ制度(Digital Nomad Visa)も存在するが、通常の観光であれば申請不要。
コロンビア
90日間までビザ不要で、入国時に最大90日が与えられる。ただし、180日/年の上限があり、リピート入国には制限がある。滞在延長も比較的簡易で、オンライン申請に対応。
南部南米
南米南部諸国は日本との外交関係が深く、ビザなし渡航が基本です。滞在可能日数が国ごとに異なるため、周遊時には出入国日をしっかり管理する必要があります。
アルゼンチン
観光目的で90日間ビザ不要。都市部では入国審査はスムーズだが、地方都市や陸路ではスタンプ漏れが起きやすく、再入国時にトラブルとなるケースがある。
チリ
日本人は90日以内の観光滞在でビザ不要。パスポートの残存期間に注意(6ヶ月以上推奨)。eTAや事前申請は不要だが、入出国カードの記入が必要な場合がある。
ウルグアイ
90日間までビザ不要。南米の中でも治安が安定しており、長期滞在希望者にも人気がある。特別なビザ制度はないが、更新手続きに柔軟な対応が見られる。
パラグアイ
日本人は90日間の観光滞在でビザ不要。イグアス移住地など日系コミュニティも存在し、日本語対応可能な施設もある。出入国の管理体制は緩め。
中米
中米諸国は一部でビザ免除圏を共有している(CA-4協定)など、周遊しやすい仕組みがある一方で、陸路での出入国審査が厳しかったり、ビザ免除条件が短い国もあるため注意が必要です。
メキシコ
日本人は180日間までビザ不要。入国審査で実際に付与される日数は入国官の判断に依存するため、90日以下となるケースもある。オンライン入国カード(FMM)の入力が廃止された地域もあり、最新情報を確認。
グアテマラ
CA-4協定加盟国。グアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドル、ニカラグア間は90日間までの共通ビザ免除で自由に移動可能。入国時のカウントはCA-4全体での累積となるため、周遊時は日数管理が必要。
コスタリカ
観光目的で90日までビザ不要。出国航空券の提示が求められるケースがあり、陸路入国の際も念のため準備しておくこと。物価は高めだが、観光インフラは整っている。
パナマ
日本人は180日間までのビザ免除。入国時に「ホテル予約」「出国航空券」「十分な所持金」の提示を求められることがある。特に長期滞在予定者は書類準備を。
北米・カリブ地域
この地域では、ビザ免除プログラムを採用する国が多く、観光目的での入国は比較的容易です。ただし、電子渡航認証(ESTA、eTA)や出国チケットの提示が義務化されており、事前準備の有無で入国可否が左右されることもあります。また、キューバなど一部の国では、政治的な理由による制限が残っており、他国からの渡航履歴が影響することもあるため注意が必要です。
アメリカ(ESTA)
日本人は観光目的であればESTA(電子渡航認証)を取得すれば最長90日間までビザ不要。有効期限は2年間だが、入国ごとに90日間の制限がある。事前申請は最低でも72時間前が推奨され、米国外への出国チケットの提示が必須。入国時の質問も多く、偽装滞在や長期滞在への警戒が強い。
カナダ(eTA)
日本人はビザ不要だが、空路で入国する場合はeTA(電子渡航認証)の取得が必要。5年有効だが、入国ごとに最大6ヶ月の滞在が可能。陸路・海路で入国する場合はeTA不要。物価が非常に高いため、長期滞在予定者は資金証明を求められるケースも。
キューバ
ビザ免除ではなく、ツーリストカードの取得が必要。航空会社や旅行代理店、第三国の空港で取得可能。アメリカから直接入国する場合は特別許可が必要となることもあり、アメリカ出入国の履歴があると別途確認されるケースもある。現地通貨制度が変更されており、2025年現在も流動的。
ドミニカ共和国
30日以内の観光はビザ不要。ただし、入国時に「観光税」の支払い(またはチケット価格に含まれる場合あり)が必要。延長や再入国の可否については現地イミグレに確認が必要。
バハマ
90日までの観光はビザ不要。日本人の渡航者数は少ないが、治安も比較的安定。出国航空券・宿泊予約の提示を求められることがある。島間移動時もパスポート携帯が必須。
ジャマイカ
日本人は30日間までビザ不要。延長は可能だが、現地での申請が必要。観光客向けの施設は整っているが、都市部では治安が悪化している地域もあり注意が必要。
ヨーロッパ(シェンゲン圏・非加盟国・イギリスなど)
ヨーロッパ諸国は、日本人にとって最もビザ取得が容易な地域のひとつです。多くの国が観光目的の短期滞在においてビザを免除しており、自由な周遊が可能です。ただし、シェンゲン圏の滞在日数制限やETIASの導入など、制度の特徴を理解しておく必要があります。
シェンゲン圏(ドイツ、フランス、イタリアなど)
シェンゲン協定に加盟するヨーロッパ諸国では、日本人は観光目的で90日以内の滞在であればビザ不要です。最大の特徴は、加盟国内を自由に移動できる点にあります。たとえばフランスで入国し、スペイン、イタリア、ドイツを経由して他国に出ることも問題ありません。
重要なのは、180日のうち最大90日間までという共通の滞在制限があることです。複数国を訪れる場合でも日数は合算されます。
また、2025年中にはETIAS(電子渡航認証)制度が導入される予定です。これはアメリカのESTAに似た制度で、数ユーロの費用でオンライン申請が必要になります。
旅行者に人気のシェンゲン圏加盟国:
- 西・南欧:ドイツ、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル
- 西・中欧:オランダ、ベルギー、スイス、オーストリア
- 中・東欧:チェコ、ポーランド、スロバキア、スロベニア
- 北欧:スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、デンマーク
- バルト三国:エストニア、ラトビア、リトアニア
※長期滞在・就労・留学は、別途各国のビザが必要です。
イギリス(UK)
日本人は最大6か月間、観光目的の滞在でビザ不要です。ただし、シェンゲン圏とは別制度のため、日数カウントは独立しています。
入国審査は厳格であり、帰国便チケット・滞在予定・十分な資金証明の提示を求められることもあります。長期滞在希望の場合は、事前にビザ申請が必要です。
クロアチア
2023年より正式にシェンゲン協定に加盟しました。これにより、滞在日数は他のシェンゲン加盟国との合算管理となります。以前の「独立した90日ルール」は廃止されています。
ルーマニア/ブルガリア
両国ともに2024年以降、段階的にシェンゲン圏に統合中です(現時点では空路と海路のみシェンゲン扱い)。現状では日本人は90日までビザ不要ですが、完全加盟後はシェンゲン共通ルールが適用されます。
トルコ
日本人は90日までの滞在でビザ不要。シェンゲン圏に加盟しておらず、独立した滞在日数ルールが適用されます。ヨーロッパ周遊の中継地としても便利ですが、滞在目的や帰国手段を尋ねられることがあります。
ジョージア(グルジア)
日本人は最長360日間の滞在がビザ不要という非常に寛大な制度が特徴です。物価が安く、ノマドビザの導入もあり、長期滞在者にも人気のある国です。出国予定の提示を求められることがあります。
実体験から学ぶビザトラブルと注意点
ビザに関する情報は、取得条件や滞在日数などの「制度面」だけでは不十分です。実際の渡航では、制度と運用が一致しない場面や、想定外の手続きトラブルが起こることも珍しくありません。このセクションでは、私自身の旅の中で経験した実例をもとに、出発前に確認しておくべきポイントや、ありがちな失敗例について解説します。
出発前に確認すべき3つのポイント
海外に出発する前に、ビザまわりで確認すべき基本的な点は大きく3つあります。特に長期旅行や複数国をまたぐ旅では、日数計算や必要書類の準備、入国ルートの違いによる影響などを正しく理解しておかないと、予想外のトラブルにつながります。
滞在可能日数の勘違い
国によって滞在日数のカウントルールは異なります。例えば、シェンゲン圏では「180日間のうち合計90日」、アメリカは「ESTAで最長90日」、ジョージアでは「360日までビザ不要」とされています。このルールを誤って理解していると、オーバーステイに該当して入国拒否や罰金の対象になる可能性があります。
陸路と空路で条件が異なる国
一部の国では、陸路と空路でビザの取得方法や対応が異なる場合があります。例えば、アフリカ地域では空港到着時のビザ手続きはスムーズでも、陸路国境では手続きに不透明な追加料金が要求されることも。事前にルート別の条件を調べ、トラブルが起きやすい入国ポイントを避ける工夫が必要です。
必要書類(証明写真・英文残高証明など)
eVISAやアライバルビザを取得する際に、写真サイズの指定、英文の残高証明書、宿泊先の予約確認書、往復の航空券などが求められる国もあります。こうした書類は現地で即時に対応できないケースも多いため、必要書類の内容を事前に調べ、渡航前に準備を整えておくことが不可欠です。
私のトラブル体験談
ここでは、私自身が実際に体験したビザトラブルを2つ紹介します。どちらも事前の知識や対策があれば防げたケースであり、今後渡航を予定している方にとって参考になるはずです。
タンザニア:eVISAが届かず再申請
タンザニア入国にあたり、公式サイトでeVISAを申請したものの、出発日が迫っても承認メールが届かず焦る事態に。結局、出発日直前に承認されるという展開に。ヒヤヒヤの出発となりました。
教訓:eVISA申請は余裕をもって行い、進捗を必ず定期的に確認すること。
ジンバブエ・ザンビア:両国の包括ビザと陸路での手続き
ビクトリアの滝が両国にまたがるため、ジンバブエとザンビアは両国間の行き来が自由になる特殊なビザがあります。陸路でザンビアに入国する際にビザのチェック。係員のビザへの書き込みを確認すると当日に日帰りする日付で処理されていました。ザンビアに宿泊する旨を伝えてすぐに修正。万が一見逃していたら、数日後に復路でジンバブエに再入国する際にオーバーステイになっていたでしょう。
教訓:アライバルビザは「空港内での取得の流れ」まで具体的に調べておくべき。
便利なビザ申請方法と情報源
ビザ情報は国によって頻繁に変更されるため、「正確で信頼できる情報源」を知っておくことが、旅を安全に進める上で非常に重要です。ここでは、各国の最新情報を得るための方法や、ビザ申請において注意すべき点、詐欺サイト・代行業者の見極め方まで解説します。
各国のeVISA公式サイトの探し方
多くの国がオンラインでのビザ申請(eVISA)に対応しており、公式サイトから簡単に申請できます。ただし、検索エンジンで「国名 eVISA」と調べると、広告枠に表示される非公式な代行サイトが上位に表示されることもあるため注意が必要です。
正確な公式サイトを探すには、以下の方法が有効です:
- 外務省の各国情報ページにある「ビザ」欄からリンクをたどる
- 在日大使館の公式サイトに掲載されているリンクを確認する
- ドメインが
.gov
や.go.xx
(xxは国コード)であるかをチェックする
外務省・各国大使館の確認方法
ビザ制度は突然変更されることがあり、SNSや旅行ブログの情報が古くなっているケースもあります。こうした誤情報を避けるためには、一次情報である政府・大使館の情報を最終的に確認する習慣が大切です。
具体的に確認すべきページ:
- 外務省 海外安全ホームページ
渡航前の安全情報・ビザ情報が掲載されています。 - 在日外国大使館のビザ情報ページ
書類の具体的な提出方法、ビザ料金、対応言語などが明記されています。
不明点があれば、直接メールで問い合わせてみましょう。多くの大使館は日本語か英語での問い合わせに対応しています。(問い合わせに対応していない国もあります。)
詐欺サイト・代行業者に注意
eVISA申請代行をうたうウェブサイトの中には、高額な手数料を請求する詐欺的な業者も存在します。特にESTA(アメリカ)やETA(カナダ・オーストラリア)では非公式サイトによる被害報告が多発しています。
代行サービスを利用する場合の注意点:
- 「公式」と記載していても、URLを必ず確認する(gov以外は要注意)
- 手数料の内訳が明記されていないサイトは避ける
基本的に、eVISAは自分で申請すれば10〜30分程度で完了します。特別な理由がない限り、代行業者を通すメリットは少ないのが現実です。
よくある質問(FAQ)
ビザに関する疑問は多岐にわたりますが、その中でも特に旅人からよく聞かれる質問をまとめました。制度は日々変化しているため、ここで紹介する内容は「基本的な考え方」として押さえ、詳細は必ず最新情報をご確認ください。
ビザ免除でも入国拒否されることはある?
はい、あり得ます。ビザ免除国であっても、入国審査官の裁量で入国を拒否されることがあります。特に以下のようなケースでは注意が必要です:
- 帰りの航空券を所持していない
- 滞在先の住所が曖昧
- 滞在費の支払い能力が疑問視される
- 渡航歴に問題がある(過去のオーバーステイなど)
たとえビザが不要でも、入国条件を満たしていないと判断されれば、入国は許可されません。
陸路のほうが入国が緩いって本当?
一部の国ではそういった傾向があります。たとえば、カンボジアやラオスなどでは陸路の国境でのチェックが比較的ゆるやかという声もあります。ただし、これはあくまで「現地職員の運用差」であり、制度として公式に緩いという意味ではありません。
また、陸路は非効率な手続きや不明瞭な費用が発生するケースもあるため、「緩いから得」とは限らないという点に注意が必要です。
滞在日数を超えたらどうなるの?
滞在可能な日数を1日でも超過すると、オーバーステイ扱いとなり、罰金や出国制限、再入国禁止などの処分を受ける可能性があります。具体的な対応は国によって異なりますが、以下のような事例が報告されています:
- タイ:500バーツ/日 の罰金(最大20,000バーツ)
- インド:再入国制限(最長で5年間)
- EU諸国(シェンゲン圏):再入国時に指摘されると、強制送還や入国拒否の対象になることも
短期滞在であっても、「1日だけなら大丈夫」は通用しません。出国日には必ず注意を払い、余裕を持った行動を心がけましょう。
本記事で掲載していない国について
本記事では、主に世界一周や長期旅行で訪問者の多い60カ国以上を中心に、観光ビザの取得方法や注意点をまとめました。しかし、世界には約200の国と地域が存在し、すべての国の最新情報を常時掲載するのは現実的ではありません。
以下のような国・地域は、正確な情報管理が難しいため、意図的に掲載を見送っています:
- 渡航者数が極端に少ない国
例:ナウル、赤道ギニア、ツバルなど - 政情・制度が非常に不安定な国
例:アフガニスタン、リビア、ソマリアなど - ビザ制度が複雑または特殊な国
例:中国(招待状制度)、ロシア(都市ごとのeVISA制限)、キューバ(ツーリストカード)
情報の正確性と実用性を優先するため、本記事では「旅行者の関心が高い国・実際に行く可能性が高い国」を中心に掲載しています。
最新情報の確認方法
掲載されていない国について調べる場合は、以下の方法がおすすめです。
- 外務省 海外安全ホームページ
- 各国大使館または領事館のビザ情報ページ
- 国際空港の出入国管理局公式サイト(英語対応あり)
国ごとの入国条件は、数ヶ月単位で変更されることもあります。 渡航前には必ず一次情報での確認を行ってください。
まとめ|ビザは「調べるだけ」で旅の質が変わる
海外旅行においてビザの情報は「最後に確認するもの」ではなく、「最初に確認すべき旅の前提条件」です。国によって制度は異なり、渡航時期・入国方法・必要書類の違いが、スムーズな旅を左右します。
本記事では、2025年執筆時点で有効な60カ国以上の観光ビザ情報を、地域別・国別にわかりやすくまとめました。加えて、eVISAやアライバルビザの取得方法、実体験ベースの注意点、詐欺サイトへの対策など、旅人がつまずきやすいポイントも網羅しています。
特に長期旅行・世界一周を検討している方にとって、この記事は出発前の「確認リスト」として活用できる内容になっています。とはいえ、ビザ制度は流動的です。最終的には必ず外務省や各国大使館の情報をチェックし、自己責任で準備を整えましょう。
ビザの確認は、「旅の不安を減らす最初の一歩」です。
しっかり調べ、安心して世界に踏み出してください。