「世界一周って、いったいどれくらいの費用がかかるの?」
そんな疑問は、旅を計画する誰もが一度は抱くはずです。実際、旅のスタイルや訪れる国によって、その予算は大きく変わります。
東南アジアであれば月7万円でも十分暮らせますが、西ヨーロッパや北米ではその3倍以上かかることもあります。さらに、宿のグレード、移動手段、外食の頻度など、選択次第で総額は数十万円単位で変わってくるのが現実です。
本記事では、世界一周にかかる費用の目安を「旅スタイル別」「地域別」に整理し、リアルな出費例と節約術を筆者の実体験をもとにご紹介します。また、お金の管理方法や支払い手段など、長旅を安心して続けるための具体的な知識も網羅しました。
「無理なく」「自分らしく」世界を巡るために──。
あなたの理想の旅に必要な、現実的なコスト感とその備え方を一緒に考えていきましょう。
世界一周の費用はどれくらいかかる?
世界一周を検討し始めたとき、真っ先に気になるのが「実際いくら必要なのか」という点ではないでしょうか。インターネット上では「月10万円で世界一周できる」という声もあれば、「300万円以上かかった」という体験談もありますが、結論からいえば、旅のスタイルと訪問地域によって費用は大きく異なります。
このセクションでは、まず平均的な費用感を整理しながら、「節約型」「バランス型」「快適型」といった旅スタイルごとの目安を紹介します。さらに、どのスタイルが自分に合っているのかを見極めるためのポイントも解説します。
平均的な旅費の相場感
私や他の長期旅行者の体験をもとにすると、世界一周中の月間生活費は1ヶ月あたり10万円〜25万円程度が一般的です。これは、宿泊費、食費、現地交通費、観光費などを含んだ金額です。
※ 国際航空券や大陸間の移動費は含めていません。これらは「移動費」として別に見積もる必要があります。
- 節約型の旅(バックパッカー):月7〜12万円
- バランス型の旅:月13〜18万円
- 快適型の旅(ホテル・グルメ中心):月20〜25万円以上
全体の期間にもよりますが、たとえば1年間の世界一周なら、月間支出×旅の日数に加えて、移動費や装備代などを別途加える必要があります。
節約型・中間型・快適型で見る生活費の違い
費用感を理解するには、旅の「スタイル」を明確にするのが近道です。以下は3つのスタイルに分けた目安です。
スタイル | 月額目安 | 特徴例 |
---|---|---|
節約型 | 7〜12万円 | ドミトリー宿泊、自炊・ローカル食、陸路移動中心 |
バランス型 | 13〜18万円 | ゲストハウスや個室、ローカル色・レストラン併用 |
快適型 | 20〜30万円以上 | ホテル滞在、食事重視、飛行機移動が中心 |
この分類はあくまで目安ですが、自分がどのタイプに近いかを把握することで、必要な資金計画が立てやすくなります。
あなたの旅スタイル別の予算例
例えば「カメラが趣味で、絶景スポットを巡りたい」という人は、移動費や観光費が増える傾向にあります。逆に「現地でのんびり長期滞在したい」人なら、1カ国あたりの出費は抑えられるでしょう。
- 毎月の平均支出が10万円なら、6ヶ月で60万円、12ヶ月で120万円
- 毎月15万円であれば、1年旅すれば180万円前後
- 高頻度で飛行機を使う、都市間の移動が多いなら+30〜50万円の余裕を見ておく
このあとのセクションでは、地域ごとの物価差や具体的な節約術についても詳しく紹介していきます。
地域別・旅スタイル別の月間生活費の目安(移動費除く)
世界一周の費用を具体的にイメージするには、訪問先ごとの「月間生活費」を知ることが大切です。ここでは、私の実体験や他の長期旅行者の情報をもとに、地域と旅スタイルの組み合わせ別に目安をまとめました。
※この「月間生活費」は、現地での宿泊費・食費・現地交通費・観光費などを含みます。国際線や大陸間のフライトなど長距離移動費は含めていません。
節約型での月間生活費(目安)
地域 | 月額目安 | 備考 |
---|---|---|
東南アジア | 7〜10万円 | ドミトリー中心。物価が安く長期滞在に最適 |
南アジア | 6〜9万円 | 最安地域。ただし衛生や治安に注意(インド等) |
中東・東欧 | 10〜13万円 | 物価はやや上昇。節約しながらも快適に過ごせる |
南米 | 10〜15万円 | 国による差が大きい。移動コストに注意 |
アフリカ | 10〜14万円 | 移動や通信コストが割高になる傾向 |
西欧・北米 | 20〜25万円 | 宿代・食費ともに高く、節約しても高水準 |
バランス型での月間生活費(目安)
地域 | 月額目安 | 備考 |
---|---|---|
東南アジア | 12〜15万円 | 個室ゲストハウス中心。外食や観光も充実 |
南アジア | 11〜14万円 | 快適さを重視すると一気に費用が上がる |
中東・東欧 | 15〜18万円 | 欧州エリアは春夏の観光シーズンに注意 |
南米 | 17〜22万円 | 国内線・長距離バスの利用頻度がコストに直結 |
アフリカ | 16〜20万円 | 治安やインフラに応じて宿泊費が変動しやすい |
西欧・北米 | 28〜33万円 | コンパクトに動いても生活コストは高水準 |
快適型での月間生活費(目安)
地域 | 月額目安 | 備考 |
---|---|---|
東南アジア | 20〜25万円 | リゾートホテル滞在や現地ツアーを楽しむ旅 |
南アジア | 18〜23万円 | 高級宿に泊まれば欧州並の出費になることも |
中東・東欧 | 22〜27万円 | トルコ・ジョージアなどでも高級路線なら割高に |
南米 | 25〜30万円 | 飛行機移動やプライベートツアーが中心の旅 |
アフリカ | 24〜32万円 | サファリ・ガイド付き旅行は高額になりがち |
西欧・北米 | 35〜45万円以上 | 都市部ホテルや外食中心だと1ヶ月で40万円超も珍しくない |
地域によっては「節約型」と「快適型」で2倍以上の開きがあるのが現実です。自分の旅スタイルに合わせて、訪問地域やルートを調整することで、総額を無理なくコントロールできます。
次のセクションでは、そうした出費を抑えるためのテクニックや、旅費節約の工夫を具体的に紹介していきます。
旅費を節約する5つのコツ
限られた予算で世界一周を続けるためには、旅先での出費を意識的にコントロールする必要があります。特に、宿泊費や移動費、食費といった「毎日発生する支出」は積み重なると大きな差になります。
ここでは、私が実践して効果を感じた、長期旅で役立つ節約のコツを5つ紹介します。
1. 自分にとって“ちょうどいい宿”を見つける
旅先で快適に過ごすためには、ただ安いだけの宿よりも、「自分にとってベストな条件」の宿を選ぶことが重要です。
私の場合はドミトリーは避け、AGODAで個室やアパートメントタイプの宿を探すことが多いです。以下のような点を基準に、妥協点を見極めて選んでいます。
- 【重視する点】Wi-Fiの速さ、清潔さ、冷蔵庫やデスクの有無
- 【妥協できる点】部屋の広さ、駅からの距離、景観 など
たとえば、少し駅から離れていても部屋が広くて静か、作業に集中できる宿なら、それは“コスパが高い宿”です。価格だけにとらわれず、自分にとっての快適さと予算のバランスを取るのが、旅を長く続けるコツだと感じています。
2. 陸路やLCCをうまく使う
移動費を節約するなら、飛行機ばかり使わず、バスや鉄道などの陸路をうまく取り入れるのがコツです。たとえば南米や東南アジアでは、夜行バスに乗ることで「移動+1泊分の宿代」を同時に節約できます。
どうしても飛行機を使う場合は、LCC(格安航空会社)のセール情報を定期的にチェックしましょう。SkyscannerやKiwi.comなどの比較サイトで価格動向を確認するのもおすすめです。
3. 外食を抑え、自炊やローカルフードを取り入れる
1食ごとの出費を抑えるには、ローカルの屋台や食堂、自炊が強い味方になります。特にキッチン付き宿に泊まると、スーパーでまとめ買いして自炊でき、食費を大きく抑えられます。
現地の市場で旬の野菜やフルーツを安く買えるのも、旅の楽しみのひとつです。
ただし、水道水が飲めない地域ではミネラルウォーター代や加熱調理のコストも計算に入れておきましょう。
4. 無料の観光・イベントを活用する
お金をかけずに楽しめるスポットもたくさんあります。たとえば:
- 無料開放日がある博物館・美術館
- 公園・寺院・自然スポット
- フリーツアーや地元イベント
「Free Walking Tour」などのチップ制ツアーは、現地の人の話を聞きながら町を深く知ることができ、コスパも抜群です。
5. 長期滞在による“固定費の最適化”
都市を頻繁に移動する旅は、移動ごとに宿・交通・荷造りの手間が増えるため、コストも労力もかさみがちです。一方、1ヶ所に2〜4週間とどまるスタイルなら、生活コストを安定させやすくなります。
特に「現地SIMの活用」「食材のまとめ買い」「お気に入りカフェのリピート」など、生活パターンを確立できれば、自然と支出も抑えられます。
節約と我慢は違います。自分にとってストレスのないバランスを見つけることが、旅を長く続ける秘訣です。
旅の予算管理とお金の扱い方
「いくらかかるか」だけでなく、「どう使い、どう管理するか」も世界一周を続けるうえでは重要なテーマです。
ここでは、私が実践している予算管理の考え方や、お金の扱い方について紹介します。
支払い手段の使い分け
- 宿や航空券の支払い:クレジットカード(VISAまたはMastercard)を使用
- 現地通貨:ATM引き出しで対応
- 現金払いが必要な場面は多いため、最低限の現金は常に確保
- クレカは2枚以上、通貨は分散管理(財布・サブポーチなど)
出費記録と予算感の把握
- クレカで支払い、自動的に記帳する
- 出費は「1か月でいくらになるか?」を意識する
- 月単位で見直して、使いすぎた項目がないか振り返る
両替や手数料に注意
- 空港両替はレートが悪いので基本はATM利用
- WiseやRevolutで為替手数料を抑える
- 通貨感覚が狂いがちな国では「1USD換算でいくら?」を把握する
無理なく予算を使いながらも、支出をコントロールしていくことが、長く快適な旅を続けるためのカギになります。
リアルな出費内訳と私の実例
世界一周の費用について調べていても、「実際どれくらい使ったのか?」というリアルな数字に出会えることは意外と少ないものです。このセクションでは、私の旅スタイル(バランス型)を前提に、実際の出費の目安を具体的に紹介します。
モデルケース:1ヶ月あたりの出費イメージ(バランス型・アフリカ)
項目 | 金額(目安) | 備考 |
---|---|---|
宿泊費 | 約180,000円 | 個室メイン。仕事ができる宿を優先(ドミトリーは避ける) |
食費 | 約30,000円 | スーパーやローカルレストランが中心 |
現地交通費 | 約10,000円 | 公共交通機関、タクシーなど |
観光・体験費 | 約30,000円 | 入場料・現地ツアー・チップなど |
通信・雑費 | 約10,000円 | SIMカード、洗濯、日用品など |
合計:約26万円/月
※上記はアフリカを中心に旅した場合の例です。西欧・北米では+10〜30万円程度を想定しておくと安心です。
節約だけでなく、快適さとのバランスが大切
私は「安ければOK」という旅ではなく、自分が心地よく過ごせる条件の中で、無駄を省いていくというスタイルを大切にしています。
- ネット環境や作業スペースが確保できる宿
- 体に合う食事を取れる環境
- ストレスにならない移動やスケジュール
こうした“旅の質”に投資することで、結果的に移動疲れや体調不良のリスクも減り、トータルで見てコストパフォーマンスの良い旅ができていると感じています。
世界一周の航空券と移動費:どう考えるべきか?
ここまで紹介してきたのは、各国での「現地生活費」でしたが、世界一周全体の予算を考えるうえで欠かせないのが航空券代や移動費です。ルートや旅のスタイルによって、かかる費用は大きく変わってきます。
「世界一周航空券」とは?
「世界一周航空券」とは、複数の航空会社が連携して販売している、世界をぐるっと一周するルートを事前にまとめて購入できるチケットのことです。スターアライアンスやワンワールドなどの航空連合が提供しています。
主な特徴は以下の通りです。
- 目的地(多くは3〜15都市)を事前に決めて、まとめて発券
- 同一方向に進む必要がある(基本は東回りまたは西回り)
- 一定距離または区間数に応じて料金が変動
- 有効期限は通常1年間まで
旅の大枠を決めておきたい人や、大陸間の移動が多いルートには便利な選択肢です。
航空券代の目安と選び方(大陸数ベース)
旅のスタイルやルートによって移動費のかかり方は異なりますが、以下は 3〜5大陸・10〜15か国を訪問する世界一周旅 を想定した費用目安です。
移動方法 | 費用目安(総額) | 特徴・備考 |
---|---|---|
LCC・片道航空券の都度手配 | 約30〜60万円(アジア〜欧州中心) | 地域によって価格差が大きく、アフリカ・南米を含めると+10〜30万円かかる場合も |
世界一周航空券(エコノミー) | 約60〜90万円 | 距離制限あり。最大16区間、3〜6大陸まで対応可能 |
世界一周航空券(ビジネス) | 約120〜150万円 | 快適性・マイル加算・ラウンジ特典あり |
世界一周航空券(ファースト) | 約200万円〜 | 航空会社は限られるが、通常料金と比較すると割引率は最も高い |
LCCや片道航空券を使って都度手配するスタイルは、主にアジア・欧州・一部中東などLCCが発達している地域に効果的です。都市間移動が安価で、セールも多いため、費用を抑えながら柔軟な旅程を組めるのが強みです。
一方、南米やアフリカを含むルートでは注意が必要です。そもそもLCCの選択肢が少なく、長距離移動にはフルサービスキャリアを使わざるを得ません。さらに地方間のアクセスも悪いため、実際にはフライト代が大幅にかさみ、70万円〜80万円以上になることもあります。
ただし、アフリカ・南米のすべてがアクセス困難というわけではありません。
例えば、エジプト(カイロ)やモロッコ(カサブランカ)などは、欧州や中東からのLCCが就航しており比較的安価にアクセスできます。また、ヨハネスブルグ(南アフリカ)やナイロビ(ケニア)は、アフリカ大陸内外の航空ハブとなっており、主要都市間の移動はしやすい部類です。
南米では、コロンビア(ボゴタ・メデジン)やペルー(リマ)、チリ(サンティアゴ)などは南米LCCの拠点として、他国との接続性も高く、費用も比較的抑えられます。
つまり、「LCCで回れない=すべてのアフリカ・南米が高額」というわけではなく、都市選びやルート設計次第で、十分に費用と利便性を両立することが可能です。
私が選んだのは「世界一周航空券+LCCの併用」
私自身は、スターアライアンスの世界一周航空券(ビジネスクラス)を約130万円で手配し、主要な大陸間移動に活用しています。加えて、現地での柔軟な移動にはLCC(格安航空会社)や片道航空券を組み合わせています。
この金額だけを見ると「高い」と感じるかもしれませんが、実際には通常のビジネスクラス航空券を個別に予約した場合と比べて、圧倒的にコストパフォーマンスが良いのが世界一周航空券の特徴です。
今回は「一生に何度もある経験ではない」と考え、快適さや長距離フライトでの体への負担軽減を優先して、あえてこの選択をしました。快適さと自由度のバランスを取りながら、旅そのものを深く楽しむことが目的でした。
このスタイルのメリットは次のとおりです。
- 長距離フライトをビジネスクラスで快適に移動できる
- マイルやラウンジなどの特典も活用できる
- 細かいルート調整はLCCで柔軟に対応可能
移動の負担を減らしつつ、予定外の寄り道も叶えられるので、快適さと自由のバランスが取れた旅になりました。
航空券代は“独立して管理”するのがコツ
航空券代は、現地での生活費とは別枠で管理するのがおすすめです。月あたりの生活費から移動費を捻出しようとすると、旅の質を落とす原因になります。
- 航空券代は「初期費用」または「固定費」として計上
- 月々の支出は「生活費」に限定して管理
- 航空券の予約は、予算と自由度のバランスを意識して選ぶ
世界一周の移動には正解がありません。どれだけ自由を求めるか、どこに快適さを求めるかによって、最適な選択肢は変わります。
私のように航空券を“ベース”にして旅を設計するのも、一つの参考になればと思います。
まとめ:自分に合った旅の予算感を持とう
世界一周の費用は一律ではなく、「どこを、どんなスタイルで、どれくらいの期間旅するか」によって大きく変わります。
- 1ヶ月7万円で回る人もいれば、30万円かけて快適に旅する人もいる
- 節約型、バランス型、快適型と旅のスタイルに合わせた選択肢がある
- 地域によって物価や移動費、滞在コストは大きく異なる
大切なのは、他人の旅と比べるのではなく、自分にとって心地よく続けられる旅の「予算感」を見つけることです。
私の場合は、「バランス型」のスタイルで、ドミトリーは避けつつ、設備や立地など条件を吟味しながら宿を選んでいます。その分、必要なところにはお金を使い、我慢できるところは我慢する──そんな柔軟な旅を続けています。
旅の予算は“試して調整”がベスト
出発前にすべてを完璧に決めようとするのではなく、まずは1ヶ月だけ旅をしてみて、実際にどれくらいの出費になるのかを記録するのがおすすめです。
- 出費をエクセルやアプリで記録して、リアルな数値を把握する
- 無理なく続けられるペースを自分なりに見つける
- 余裕を持った予算組みで、トラブルや予定変更にも対応できるようにする
世界一周は、お金がすべてを決める旅ではありません。
でも、しっかり準備しておくことで、無理なく、焦らず、自分らしい旅ができるようになります。
あなたの旅が「価格」ではなく「価値」で満たされるものになりますように。