「世界一周に行きたい。でも、準備って何から始めればいいの?」
旅の計画を立て始めたとき、多くの人が最初に悩むのがこの「出発前の準備」です。航空券やルートのことだけでなく、パスポート、ビザ、予防接種、海外保険、クレジットカード、そして住民票や健康保険の扱いまで、気づけばやるべきことが山ほどあることに気づくはずです。
私自身も初めて世界一周に出るとき、ネットの情報だけでは整理がつかず、ひとつずつ地道に調べながら準備を進めました。だからこそこの記事では、「世界一周に向けたリアルな準備」を、時系列と重要度に沿ってわかりやすく整理しています。
装備や手続きのリストに加えて、生活インフラの整理、税・保険の考え方までカバーしているので、長期の海外旅行を考えているすべての人に役立つはずです。読みながら、自分に必要なところだけでもチェックしていけば、自然と準備が整っていきます。
さっそく、出発までに必要な準備の全体像から見ていきましょう。
世界一周準備チェックリストの全体像
世界一周の準備では、ビザや保険といった渡航手続きだけでなく、国内の生活整理や装備の選定など、多くのジャンルを横断する作業が発生します。
しかもそれぞれが別々のタイミングで必要になるため、「どこから始めるべきか」が分からず、手が止まってしまうことも少なくありません。
このセクションでは、これから出発を予定している人が「まず全体像を把握し、自分が今どこにいるか」を確認できるよう、必要な準備を時系列とテーマ別に整理します。
次のパートから、具体的な項目を一つずつチェックしていきましょう。
渡航に必要な手続きチェック|パスポート・ビザ・予防接種
世界一周に出発するには、まず最初に「渡航に必要な書類や手続き」を確認する必要があります。パスポートやビザが整っていないと、そもそも飛行機に乗ることすらできません。また、一部の国では予防接種の証明書(イエローカード)が必要になることもあります。
このパートでは、特に重要な3つの項目を優先的にチェックしていきます。
パスポートの有効期限とページ数を確認する
- 有効期限は出国時点で6ヶ月以上が基本(国によってはさらに長いことも)
- 世界一周ではスタンプやビザでページを多く使うため、未使用ページが少ない場合は増補(ページ追加)を検討
パスポートの増補は、日本国内のパスポートセンターや一部の在外公館でも対応しています。費用は2,500円ほどで、旅の途中で手続きするより出発前に済ませておくのが安心です。
ビザの種類と取得方法を調べる
ビザには大きく分けて以下の3種類があります:
- ビザ免除(短期観光などで滞在可能な国)
- 電子ビザ(e-Visa/ETASなど):オンライン申請で取得
- アライバルビザ:入国時に取得
世界一周では、複数国をまたぐため「何か月後にどこに入国するか」が不確定な状態になりやすく、事前にすべてを取得するのが難しいこともあります。
まずは以下をチェックしておきましょう:
- 予定している国のビザ要件(外務省/大使館サイトが信頼性高)
- 陸路での国境越えの有無(航空便と条件が異なる場合あり)
- ビザの有効期間や取得期限
※より詳細なビザ情報や国別の要件は、別記事「[/overseas/visa/]」で詳しく解説しています。
渡航先によっては予防接種が必要
国によっては、黄熱病などの予防接種が入国要件となっていることがあります。特に以下の国・地域を訪れる予定の人は、出発の2〜3か月前には確認しておきましょう。
- 黄熱病:アフリカ、中南米の一部で「イエローカード(接種証明書)」が必須
- A型肝炎/B型肝炎:衛生面が懸念される地域では推奨
- 狂犬病:インドやネパールなど、野犬との接触リスクが高い国では検討の余地あり
接種できる医療機関は限られているため、早めにスケジュールを組むことが重要です。費用は病院やワクチンによって異なりますが、出費は摂取するワクチンの種類や品数によって異なります。1〜10万円前後の出費となります。
海外保険・クレカ・資金|「万が一」に備える準備
世界一周ではトラブルや病気、盗難など、何かが起こったときの備えが欠かせません。長期かつ複数国を移動する旅では、「現地の医療費が払えない」「現金が引き出せない」「スマホも財布も盗まれた」といったケースも珍しくありません。
ここでは、最低限備えておくべき3つのリスク対策(保険、クレジットカード、資金の管理)について整理します。
海外旅行保険はクレカ付帯 or 自費加入で対応
長期の旅では保険の加入が非常に重要です。保険が必要な理由は、以下のような「高額出費のリスク」があるからです。
- 現地病院の治療費(例:タイでの入院→10万円以上)
- スマホやカメラの盗難補償
- 賠償責任(加害者になった場合)
保険には主に2つの選択肢があります:
- クレジットカード付帯保険:エポスカード、dカード GOLD、ANA JCB など
- 自費加入の保険:AIG、ジェイアイ、たびほ、海外旅行保険付きフリープラン等
クレカ付帯は無料で使える反面、補償期間や金額に限度があります。90日を超える滞在や複数回の渡航では、自費保険との組み合わせが必要になる場合もあります。
より詳しくは「[/overseas/insurance/]」で、カード付帯と自費保険の使い分けを比較しています。
クレジットカードとキャッシュカードは2枚以上が基本
旅先ではカードの磁気不良・盗難・スキミングが想定されます。1枚だけで管理するのは非常に危険です。
おすすめの構成は以下のとおり:
- 日本のクレカ1〜2枚(エポス、楽天、ANAなど)
- 国際キャッシュカード系:Wise、Revolut、住信SBI、Sony Bank WALLET など
- バックアップカード:財布とは別に管理
国によって使えるクレジットカードが異なります。これは渡航先側の事情で使えない場合もあれば、クレジットカード会社側の事情で使えない場合もあります。いずれにしても万国共通で利用できる万能なカードはないので、複数のカードを準備していくのが安心です。
初期費用と生活費を分けて管理
出発前に準備すべき資金は、「初期費用」と「月々の生活費」で用途を分けて考えましょう。
- 初期費用(渡航前):予防接種・装備購入・航空券など
- 月々の生活費(旅中):宿泊費・移動費・食費・観光費用など
生活費は、地域やスタイルによってかなり差があります。
例えば、東南アジアで節約型なら月7〜10万円、欧米ではその数倍以上が目安になります。
詳細は「[/worldtrip/cost/]」の記事で地域別・スタイル別に解説しています。
住民票・税・保険の整理
世界一周に出発する前には、日本国内での行政手続きや制度の整理も必要になります。特に、住民票をどうするか、健康保険をどう維持するか、税金の申告は必要なのかといった点は、旅のスタイルや期間によって最適な対応が変わってきます。
ここでは初心者にとって現実的で、無理なく実践できる3つのパターンを紹介します。
ケース①:半年以内の旅 × 実家あり × 収入ほぼなし
もっともシンプルなケースで、多くの学生や会社員の休職旅がこれに当てはまります。
- 住民票:そのまま(転出届は不要)
- 健康保険:国民健康保険を継続
- 税金:確定申告は原則不要(収入がほぼなければ)
このケースでは、日本の制度をそのまま使いながら旅に出ることができます。行政手続きも最小限で済むため、出発準備がとてもスムーズです。
ケース②:1年以内の旅 × 働きながら旅する × 実家あり
副業ワーカーやフリーランスで働きながら旅をする人に多いパターンです。
- 住民票:残す人が多い(金融機関や税務手続きがスムーズ)
- 健康保険:国保継続または任意継続(退職後2年間)
- 税金:日本で確定申告。e-Taxで海外からも可能
日本に住所を残しておくことで、納税地や銀行口座の管理が安定します。収入が発生する人は、税務面も含めて体制を整えておくと安心です。
ケース③:それ以外(1年以上/実家なし/住民票なし)
このケースでは、制度の整理がより複雑になります。
- 住民票を抜く(海外転出届を提出)
- 健康保険は失効。自費保険に加入 or 自己責任
- 税務上の居住地が不明確になり、将来的にリスクが出る可能性あり
このような状況では、どの国でも税務上の居住者と認められない「ノンレジデント状態」になることもあります。銀行や証券口座の開設、マイナンバー利用などに影響が出るケースもあるため、一定の制度理解とリスク管理が必要です。
私は世界一周中も居住者として登録
制度の選択は、「旅の期間」「収入の有無」「日本に拠点を残すかどうか」によって変わります。難しく感じたら、税理士や社会保険労務士に相談するのも有効です。
まずは、自分がどのケースに近いかを考えることで、優先順位を整理することから始めましょう。
私は世界一周をしている間も住民票を日本に残しつつ、日本の健康保険にも加入しています。
この方法はリスクを最小限に抑えられるものの、海外にいても毎年税金や社会保険料を払い続ける必要があります。
詳しくは、制度や納税地の考え方を詳しく解説した別記事「/finance/tax/」をご確認ください。
国内の生活整理|出発前にやっておくこと
世界一周に出るということは、日本での生活を一度止めることでもあります。長期で家を空ける以上、日常生活で使っていたサービスや契約を見直す必要があります。
重要なのは、「いったん離れても再開しやすい状態」をつくっておくこと。帰国後に困らないよう、最小限のモノ・情報・契約にまとめておきましょう。
このセクションでは、出発前に整理しておきたい生活インフラや荷物管理について紹介します。
郵便・銀行・スマホなどのインフラを整理する
旅の途中で郵便物が届いたり、請求書が送られてきたりすると面倒です。出発前に以下のような手続きをしておくと安心です。
- 郵便物は実家や信頼できる友人宛てに転送設定しておく
- 不要なサブスクリプションや定期購入サービスを解約
- 銀行口座の整理(海外から利用できる設定の確認)
- キャッシュカードの暗証番号や口座ログイン情報の控えを安全な場所に保存
- 携帯電話契約の見直し(解約 or 維持 or 低価格プランへ変更)
スマホについては、渡航先で使うeSIMや海外対応プランの準備も忘れずに。日本の電話番号を維持する必要があるかどうかは、SMS認証や銀行アプリなどの利用予定に応じて判断しましょう。
荷物の処分と保管場所の確保
長期の旅では、自宅の荷物をどうするかも課題になります。
- 家を引き払う場合は、実家やトランクルームを一時的な保管場所として確保
- 必要最低限の荷物だけに厳選し、出発後の荷物管理がシンプルになるよう意識
- 重要書類(住民票、保険証書、契約書類など)はスキャン or コピーを用意し、データとしても管理
「使わないけど捨てられないもの」は思い切って断捨離の対象にするのも旅の準備の一部です。身軽になることで、旅の自由度も大きく変わります。
装備の準備とパッキング戦略
世界一周の準備といえば「持ち物リスト」が思い浮かぶ人も多いかもしれません。ですが実際には、単に必要な物を詰め込むだけではうまくいきません。
移動のしやすさ、宿の環境、気候の違いなどを考慮して、「何を持たないか」まで戦略的に考える必要があります。
このセクションでは、パッキングの方向性と、装備選びの考え方をまとめます。
具体的な持ち物については別記事「/worldtrip/packing-list/」で詳細に紹介しています。
バックパックかスーツケースかを決める
大前提として、移動手段や訪問地域、体力に応じて「バックパック」か「スーツケース」かを選ぶ必要があります。
- バックパック:階段や悪路でも動きやすく、電車・バス移動が多い人向け
- スーツケース:長期滞在や都市部中心の旅に向いている
また、費用を抑えてLCCを活用する場合は機内持ち込み制限(7kg、3辺の合計が115cm以内など)を考慮することも大切です。なるべく荷物を軽く、小さくまとめる意識が求められます。
装備の「必要最低限ライン」を考える
装備を選ぶときは、「あると便利」ではなく「ないと困るかどうか」で判断しましょう。
特に次のような装備は検討の分かれやすいポイントです:
- ノートPC・タブレット・スマホの3台持ちは必要か?
- 衣類は何日分が適切か?(現地での洗濯を前提にできるか)
- 自炊・防寒・アウトドアグッズなどを入れる余地があるか
現地での購入や現地のレンタルサービスも想定しつつ、「出発前に揃えておくべき物」と「現地で調達できる物」を分けて考えるのがコツです。
パッキングは旅のスタイルとセットで考える
装備の選び方は、旅のスタイル(都市中心/自然派/ノマド型など)によっても変わります。
- 都市中心:シンプルな装備でOK
- 自然派:アウトドア・レインウェアなどの特殊装備
- ノマド型:仕事環境・仕事道具の取捨選択
パッキングは「自分に合った旅を実現するための手段」です。最初から完璧を目指さず、必要になったら現地で足すくらいの柔軟さで準備するのもよいでしょう。
出発までの逆算スケジュール
世界一周の準備は、項目ごとに必要なタイミングが異なります。特にビザや予防接種などは直前に対応できないことも多く、早めの段取りが重要です。
このセクションでは、出発日から逆算して、何をいつまでにやっておくべきかを整理しています。余裕をもって準備を進めるための参考にしてください。
時期の目安 | やるべきこと |
---|---|
出発6ヶ月前 | – 行きたい地域とルートのイメージを作る – パスポートの有効期限を確認/更新 – ビザ要件と予防接種の必要性を調べる |
出発3ヶ月前 | – 海外保険の検討・申し込み – 装備のリストアップと購入開始 – 住民票や健康保険、確定申告の整理を検討 – 携帯・銀行・郵便の契約見直し |
出発1ヶ月前 | – 装備の最終確認/パッキング練習 – スマホ・クレカ・SIMの準備完了 – 各種書類や連絡先のバックアップ(クラウド保存+紙) |
出発1週間前 | – 再度チェックリストで抜け漏れ確認 – 家族や信頼できる人に旅程と連絡方法を共有 – 日本でしかできない用事をすべて済ませる |
準備を早めに始めることで、直前でのトラブルやストレスを大きく減らすことができます。特にワクチン接種や住民票の手続きは、役所の対応期間も考慮して逆算しましょう。
また、旅のスタイルによっては航空券や装備が直前に変わることもあるため、余白を持ったスケジュール設計を意識すると安心です。
よくある質問と不安Q&A
世界一周に向けて準備を進めていると、「これってどうするんだろう?」という細かな疑問や不安がたくさん出てきます。このセクションでは、出発前の手続きや心構えにまつわるFAQを中心に紹介します。
Q. 出発日ってどうやって決めましたか?
ビザの滞在可能期間や気候、観光のピーク時期(ホテルの価格に影響)などを調べて、いくつかの候補を絞り込みました。価値観は人それぞれですが、先延ばしにするよりも、なるべく早く動いたほうが良いと思っています。逆算して準備期間が足りるように調整しつつ、なるべく早く出発できるようにしました。
Q. 住民票や保険って、みんな抜いてるんですか?
人によって対応は異なります。私は住民票を日本に残して、日本の健康保険にも加入しています。旅の期間や収入によって選択肢が変わります。
※制度まわりの詳細は /finance/tax/
を参照ください。
Q. パッキングってどのくらい前から始めればいいですか?
最低でも1ヶ月前から、荷物のリストアップや試し詰めを始めると安心です。想像以上に「何を持っていかないか」で悩むことになります。
別記事 /worldtrip/packing-list/
に実際のアイテム例を載せていますので、あわせてご覧ください。
Q. 出発直前にやるべきことで、意外と忘れがちなことは?
郵便物の転送手続きや、銀行・スマホの契約見直しなどが後回しになりがちです。直前にバタつかないよう、3ヶ月前からToDoリストを作っておくのがおすすめです。
Q. トラブルに備えて、絶対にやっておくべき準備は?
- パスポート・航空チケット・保険証書のコピーをクラウド保存
- クレジットカードは2枚以上、別の場所に分けて保管
このあたりは「使わないかもしれないけど、持っておくだけで安心できる」準備です。
Q. 不安があるとき、どう乗り越えましたか?
正直、不安はゼロになりません。ただ極端な話し、スマホとクレジットカードとパスポートがあれば最低限どんなところでもなんとかなります。一方で、事前の準備をしておくことで、旅に出てからの面倒な手間や手続き時間をかけずに快適な旅が実現できます。ここに記載した準備をすればほとんどの場合に対応できるので、過度に不安を感じる必要はありません。
まとめ|準備こそが旅の質を決める第一歩
世界一周の準備は、「やるべきことが多くて大変そう」と感じるかもしれません。しかし、ひとつひとつ整理していけば、意外とシンプルにまとまっていきます。
この記事では、渡航手続きや住民票・保険の整理、生活インフラの解約や荷物の保管、装備の考え方、そして出発までにやっておくことのスケジュールまで、全体像を段階的に紹介しました。
私自身の経験から言えるのは、「準備の質が、その後の旅の質を大きく左右する」ということです。しっかり準備しておけば、旅先での自由度も安心感も格段に違います。
とはいえ、すべてを完璧にやる必要はありません。迷ったときは、「今、自分に必要な判断ができているか?」を基準にしてみてください。
この記事が、あなたの世界一周準備の一助になれば嬉しいです。